DRは効率的な大量生産よりも、プレイヤー目線の弦を生産することを哲学としています。
かつて生産効率を上げる為にマシンワウンドを導入したことがありました。
ですが、両者のサウンドの違いに気付き、あらゆる弦において徹底検証を行いました。
結果、より良いサウンドを作る為には職人の手によるワウンドが最も効果的だと確信し、
現在もハンドワウンドによる生産を続けています。
A.マシンワウンドは、数値上の均一さや大量生産には最適な生産方法です。
しかし、マシンワウンドでは日々変化する素材の状態や、弦全体のバランスの点に置いて、本当の意味で均一にワウンドを調整することが出来ません。
DRの経験豊富な職人たちは、その日の素材の状態を見ながらマイクロ単位の調整を行います。
また、マシンでは十分な圧力で巻くことのできないラウンドコアの弦も人の手でワウンドする事で、完成度の高い弦となります。
DRは、一本一本の弦に対し、しっかりと向き合い生産を行っています。
A.職人の高い技術により成し得た「コアに対して密接に、間隔を詰めてワウンドする技術」です。
これにより、ワウンド材とコア材の接触面積が増え、より自然に一体となって弦が振動します。
空間がある状態では、振動エネルギーの損失が起きますが、このエネルギー損失を最大限に抑える事が可能になります。
この技術により、芯のある、パワフルなサウンドが可能となります。
A.サウンドを損なわず、長寿命を実現した夢のコーティングそれがK3コーティング™です。
K3コーティング™は一般的なコーティング剤に比べ硬質で、弦の表面を締める事で音質向上に効果のあるコーティングです。コーティング剤が柔らかいとサウンドがボワつく傾向があるのに対し、
K3はサウンドが締まる効果が期待できます。またワウンド材にのみコーティングしている為、ワウンド弦のフィーリングは残ったままです。(断面図参照)
例えば、教会の鐘をサビから保護しようと考えた時、ビニールシートやラップを張り付ける方法をとるでしょうか?サウンドを優先するならば硬質なメッキを施すのがベストだと思いませんか?
DRはコーティングから生産まで全て自社で行っているため、常に素材の状態に合わせたコーティング、ワウンドを行うことでより高品質なコーティングを供給しています。
世に溢れるコーティング弦の殆どが外注です。
DRはコーティングから生産まで全て自社で行っている為、常に素材の状態に合わせたコーティング、ワウンドを行うことでより高品質なコーティング弦の供給を可能としています。
A.DRではワウンド技術だけでなく、使用する素材も厳選しています。
全てアメリカ産の素材にこだわり、より弦として有能な素材を日々選別し、使用しています。
ベース弦の方が、多くの素材を必要とする事。そして全ての弦がワウンド弦ですので素材の良さ、ワウンド技術の高さが伝わり易かったのだと考えます。
もちろんギター弦も同様の製法、素材を使用していますので、最高の品質であることには間違いありません。
A.寿命が短いというのは多くの場合、弦交換の方法で対応できます。
DR弦の多くは「ラウンドコア材」を採用しています。
ラウンドコア材はヘクスコア材に比べ角が無い為、ワウンド材が緩みやすくなっています。
弦交換の際に、正しく折り目を付けず切断する事で、衝撃によりワウンド材が緩むことがあります。
その緩みは一見では判りにくいですが、コア材とワウンド材の間に空間が生まれ、
振動エネルギーの損失や、磁気への反応低下などが起き、サビや汚れによる劣化に似た症状を発生させます。(図1参照)
ワウンド材の緩みは弦の切断面で判断することもできます。(図2参照)
ワウンド材が緩むとコア材が飛び出した様な断面となり、緩んでいない場合はしっかりと面で切れているのが確認できます。また、「コンプレッションワウンド」によってすき間を埋めたワウンドを施したDRの弦は長寿命を実現しています。
A.以前のパッケージは一般的な弦と同様のパッケージを採用していましたが、
現在は 気化性防錆フィルムの世界的ブランド「ゼラスト」と「DR Strings」の共同開発による防錆パッケージを採用しています。
錆は結露により、水蒸気が冷やされて出来た水滴が金属表面に付着すると金属表面に不均衡電位が生じ、電気化学反応によって形成されます。
新パッケージにはパッケージ内部の封筒内側に気化性防錆材加工を施したものを採用しており、その防錆材は常温で徐々に気化して錆の原因である大気中の水蒸気に溶解します。(図参照)
この防錆成分によって、弦表面にできる不均衡電位を抑え、電気化学反応を抑制して防錆します。弦が「ゼラスト」に包装されている間は、常に防錆効果が持続します。(屋内保管時で3年間以上)
弦がゼラスト包装から取り出されると、約2時間以内で弦に付着した防錆成分も再気化します。
オイルなどと違い、気化も早く、音、弦表面の変化が無く、人体にも完全に無害な成分で、非常に優れた防錆性能を発揮します。
新パッケージは防錆パッケージのステッカーが目印です。
A.一般的なギター、ベースの巻弦は六角形の「ヘクスコア」と円形の「ラウンドコア」の二種類の芯材(コア)にあらゆる素材を巻き付ける(ワウンド)して製造されています。
今回特別にワウンド職人に依頼し、ワウンドしていない部分を10cm残したサンプルを作成し各コアの撮影を行いました。それぞれの材質のコアの形状をその目でお確かめ下さい。
A.中心の形状が変化する為、「しなやかさ」「サウンド」「製造の容易さ」に影響します。
しなやかさに関しては、角のあるヘクスコアよりも角のないラウンドコアの方がよりしなやかに曲がります。
これは角があることによって力が集中しやすい六角と効率よく力を分散することが出来る円形の差によるものです。
サウンド面では角のある「ヘクスコア」は硬質で細やかな振動をします。(図1)このように細やかな振動をすると弦自体が持つ最も低い倍音である第一倍音と高次倍音が多く発生します。
それに対して「ラウンドコア」はしなやかで、自然な振動をします。(図2)よってより自然な倍音配列となります。
この為、低音の比重が大きいベースではラウンドコア材の場合は明瞭で自然なサウンドとなり、ヘクスコア材の場合はディープでどっしりとしたサウンドとなります。
ギター弦ではラウンドコア材の場合はファットでバランスのとれたサウンドとなり、ヘクスコア材の場合は明瞭なサウンドとなります。
製造の容易さに関してヘクスコア材はワウンドが緩みにくく、比較的容易に生産が可能な為、マシンワウンドによる大量生産にも向いています。
反面、ラウンドコア材ではワウンドが緩みやすく、非常に緻密な調整が必要となります。
DRではヘクスコア、ラウンドコアに関わらず、全ての弦を職人が一本一本緻密に調整を行いながらワウンドを施しています。
A.表面を覆う巻弦(ワウンド材)をDRでは「ニッケルプレート(ニッケルメッキスチール)」「ピュアニッケル」「カンタムニッケル(特殊配合のスチール)」「ステンレス」「フォスファーブロンズ(銅とリンを混ぜた合金)」
の5種類をサウンド、楽器に合わせて使用しています。 各マテリアルの特徴は以下の表をご覧ください。
素材 | 素材の特徴 | サウンドの傾向 |
---|---|---|
ニッケルプレート | 最も一般的な素材です。柔らかく、錆びに強く、磁力を通しやすい。 | ウォームでバランスの良いサウンド |
ピュアニッケル | ピュアニッケル ニッケルのみを贅沢に使用した素材です。非常に柔らかく、錆びに強く、非常に磁力を通しやすい。 | ニッケルプレートよりウォームでディープなサウンド |
カンタムニッケル | DRが独自に開発した新たな素材です。適度な柔軟性、錆びにも強く、磁力を通しやすい。 | ディープさとパンチを兼ね備えたサウンド |
ステンレス | 非常に硬質な素材です。錆びに強く、磁力を通します。 | パンチのあるブライトなサウンド |
フォスファーブロンズ | 非常に柔らかく、錆びにくく、磁力は通しにくい素材です。 | 非常にウォームでパワフルなサウンド |
A.職人達の卓越した技術により成し得た「ブリッジ部のワウンドをシングルにしたワウンド法」です。
これによりナット部とブリッジ部が細く、スケール部が太くなり、より自然な振動が可能となります。
また、フレットを抑えた際も無理なく弦が振動する為、サウンドが太くなる効果が期待できます。
同時に演奏時に弦のしなやかさをより実感できる構造です。
A.弦はプレイヤーと楽器、果てはオーディエンスまでをも結ぶ重要なポイントです。
より深く弦を知って、幅広い視野で選ぶ事により、理想のサウンドへ近づくことが出来ます。
自分の出したいサウンドの特徴に最適なコアの形状、マテリアル、ゲージを選ぶことでこれまでのサウンドから
大きく前進できることでしょう。
楽器本体を変えたり、アンプやエフェクターを変えるより遥かに手軽で、低価格で劇的な変化を味わうことが出来ます。
また、プレイヤーの弾きやすさ、楽器の音質の補填、ルックスさえも変化させることが出来ます。
貴方の意志を楽器、オーディエンスに伝える大切な役割を担う弦。それを選ぶことで、よりあなたの意志を明確に伝えることが出来るようになるのです。
演奏する時にニュアンスを意識し奏法を考えるように、弦を選び、考える事で、あなたのサウンドはより多くの人に伝わるでしょう。
A.ギター、ベース、ウクレレ、ヴァイオリン…などの弦楽器だけでなく、ピアノをはじめとする鍵盤楽器にも使用されている弦。
これらの見た目もサウンドも異なる楽器達は全て弦を振動させ、その音を増幅させて発音しています。
弦を振動させる方法が異なり、増幅の方法が異なるだけで、弦自体の振動は同じ動きをしています。
イメージでは弦の振動は平面的に動いていると考えられがちですが、実は三次元的に振動しています。(図1)
また、中心から大きく震えているように思われていますが、あらゆる複雑な動きを高速で繰り返すことで振動しています(図2)
この複雑な動きを様々な方法でコントロールし、音程、音量、音色、などを調整しているため、それぞれの楽器にはそれぞれ違う弦が張られています。
A.弦の音程を決定するものは三つで「テンション」「弦の重さ」「弦の長さ」で決定しています。
テンションは高ければ高いほど音程は上がります。弦の重さは軽ければ軽いほど音程は上がります。弦の長さは短ければ短いほど音程は上がります。
これらはそれぞれ影響しあうため、弦の長さを変えることが出来ない楽器の多くは「弦の重さ」と「テンション」で音程をコントロールしています。
(楽器のサイズを大きくしてしまうと持ち運びも大変ですし、設置場所にも困ってしまいますよね。)
弦楽器でお話を進めると、テンションは糸巻きやペグで調整し、弦の重さは弦のゲージや素材でコントロールします。
より、テンションを下げたければゲージを細く、よりテンションを上げたければゲージを太く…が基本となります。
ここで「5弦ベースの弦は太いけどテンション低いぞ?」という疑問が出てきますが、五弦の場合「弦の長さ」は変更できません。そして「弦の重さ」もワウンド材を極限まで太いものを選び、
二重、三重にワウンドした弦を使いますが、これ以上ワウンドを増やすことも、ワウンド材を太くすることも限界です。よって「弦の重さ」もこれ以上変更できない状態にあるのです。
よって5弦はテンションを低くしてより低い音を実現したものになります。
テンションに関して言えば、よりしなやかな弦をチョイスする事によってテンションが低く感じる場合があります。
また、ゲージの太さを変えたくない場合、弦のしなやかさ、弦の素材(より軽い物を選ぶなど)でコントロールも可能です。
A.弦の音色は複雑にかつ立体的に振動する弦の振動の「癖」によって決まります。
どのように振動するか、はどのような帯域の倍音を多く含むのか。につながります。
最も低い1次倍音から高い倍音になるにつれて小さな音になるのが自然な倍音の配置ですが
振動に癖がある場合、1次以降の倍音の音量に差がでます。この現象の応用が「ハーモニクス」です。(図参照)
これは弦を振動させる位置を限定することで1次倍音以上を発生させて澄んだ高音を出す方法です。
この澄んだサウンドがどのように1次倍音に混ざるのかによって、サウンドは変わります。
振動の癖は「コアの形状」「ワウンドされている材」「巻き付ける方法」「素材の均一性」「素材の状態」など多くの製法と関わっています。
DRは一本一本の弦を職人が細やかな調整を行いながらワウンドしているため、音色面での均一性を実現しています。
A.弦の音量は「如何に大きな振れ幅で弦が振動するか」によって変化します。
よりしなやかな弦は音量が出やすく、振動の際にエネルギーの損失が少ない弦が音量を長く持続します。
また、テンションが高いと音量が出やすいという説がありますが、これは初期に与えるエネルギーが大きくなる事と
テンションが高いため、アタックが出やすくなる為、音量が出るように感じるのです。
よりしなやかで、より損失の少ない弦を選ぶことが音量とサスティーンを稼ぐために重要なことなのです。
弦は使用頻度による進行の度合いは違うものの、日々劣化していきます。
A.エレキ楽器である場合弦に汚れが付着したり、錆びるにつれて磁力の反応が悪くなります。
それによって細かいニュアンスが出にくい、パワーが落ちる、サウンドがこもるなどの音色への影響と、
弦が伸びきる事によって、チューニングが不安定になる、オクターブが狂うなど音程面での影響も現れます。
更には目に見えない細かな凹みや汚れなどによって振動が不均一になることもあり、サウンドに影響します
じんわりと劣化していく弦はサウンドの変化幅が少なく、長く使用できる弦です。
また、交換の時期などはあなたの思う最高のサウンドのタイミングによります。
ベストな状態がより長く続く弦をチョイスし、状態に不満が出た時は迷わず交換する事をお勧めいたします。
A.弦はプレイヤーの指やピックで奏でたサウンドをピックアップし、本体に伝える重要な役割です。
車に例えるならばピックアップはエンジン、プレイヤーの指をハンドルとするならば、弦はタイヤのような役割です。
タイヤの無い車が走らぬように、弦の無い楽器も音を奏でません。
つまり弦は実際に音を発生させている重要なポジションにあると言えます。
弦を交換する事は本体の持つ長所を延ばし、短所を補って、理想のサウンドに近づけたりなど自由自在にサウンドを
コントロールできる部分でもあります。
もっとも安く、もっとも手軽にサウンドを変えることが出来る物、それが弦なのです。